
【難解だけど、世界観がクセになる映画】4選
ジャンルを問わず、様々な映画を愛する映画大好きのニャンコです。 映画歴20年以上、累計3,000本以上を鑑賞したニャンコが、「心の底から楽しい♪」と思った映画の魅力を余すことなくご紹介していきます。 今回、ご紹介するのは「難解だけど、世界観がクセになる映画」です。 世の中には、考察が捗る難解な映画が沢山ありますが、その中でも選りすぐりの難解映画をご紹介いたします。 「難解な映画はちょっと……」という方も、ぜひこの機会に映画を鑑賞してもらえると嬉しいです。 きっと新たな映画の魅力に気づけると思いますよ。
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- 作成日時:
- 2025/04/26 20:28
NOCEBO/ノセボ
- 制作年:
- 2022年

ロルカン・フィネガン監督が手がける心理スリラー『NOCEBO/ノセボ』は、観る者を深層心理の闇へと誘う一作です。 主演のエヴァ・グリーンが演じるのは、成功したファッションデザイナー、クリスティーン。 彼女のもとに突然現れたフィリピン人の乳母ダイアナ(チャイ・フォナシエ)がもたらす「癒し」は、次第に一家の生活を不穏な方向へと変えていく、というストーリーです。 本作の見どころは、単純なホラーやサスペンスではないという点です。 ファストファッション業界が抱える搾取の構造や、植民地主義の影響といった社会的テーマを巧みに織り交ぜつつ、シャーマニズムや呪術といった異文化の要素を用いて、独特の世界観を構築しています。 美しい映像と息を呑むような緻密な演出が、観客をじわじわと追い詰め、また、エヴァ・グリーンの繊細かつ力強い演技が、恐怖の本質に迫る鍵を握る、非常に見応えのある作品です。 【あらすじ】 ファッションデザイナーのクリスティーンは、夫フェリックスや幼い娘ボブスと共にダブリン郊外で順風満帆な生活を送っていた。 ある日の仕事中、彼女はダニに寄生された犬の幻影に襲われる。 8ヶ月後、クリスティーンは筋肉の痙攣や記憶喪失、幻覚などを引き起こす原因不明の体調不良に悩まされていた。 そんなクリスティーンの前に、彼女を助けに来たというフィリピン人の乳母ダイアナが訪ねてくる。 雇った覚えのないダイアナを不審に思うクリスティーンだったが、ダイアナは伝統的な民間療法で彼女の不調を取り除き信頼を得る。 クリスティーンは次第に民間療法にのめり込んでいくが、それは想像を絶する恐怖の始まりだった。
クライムズ・オブ・ザ・フューチャー
- 制作年:
- 2022年

鬼才デヴィッド・クローネンバーグが8年ぶりに放つ衝撃のSFボディ・ホラー『クライムズ・オブ・ザ・フューチャー』を紹介します。 本作は、人類の進化と芸術の境界を描いており、非常に難解な映画です。 クローネンバーグ監督の美学と哲学が融合した本作は、観る者に深い問いを投げかけています。 果たして、人類の進化の先に待ち受ける運命とは? 【あらすじ】 そう遠くない未来。 人工的な環境に適応するため進化し続けた人類は、その結果として生物学的構造が変容し、痛みの感覚が消え去った。 体内で新たな臓器が生み出される加速進化症候群という病気を抱えたアーティストのソールは、パートナーのカプリースとともに、臓器にタトゥーを施して摘出するというショーを披露し、大きな注目と人気を集めていた。 しかし、人類の誤った進化と暴走を監視する政府は、臓器登録所を設立し、ソールは政府から強い関心を持たれる存在となっていた。 そんな彼のもとに、生前プラスチックを食べていたという遺体が持ち込まれる。
SWALLOW/スワロウ
- 制作年:
- 2019年

カーロ・ミラベラ=デイヴィス監督が手がける『SWALLOW/スワロウ』は、異食症という衝撃的なテーマを通じて、現代女性の抑圧と解放を描いた心理スリラーです。 主演のヘイリー・ベネットは、完璧な生活を送る新妻ハンターを演じ、その内面に潜む葛藤と欲望を繊細に表現しています。 物語は、彼女が異物を飲み込むことで得る快楽と、それに伴う自己発見の旅を描いているのですが、とにかく何でも飲み込んでしまうので、観客側が「オエッ!」という気分になります。 しかし、映像が非常に美しく、美しさの対比として描かれる緊張感あふれる演出が、観客を深い心理の世界へと誘う問題作です。 鑑賞後、あなたも何かを飲み込みたくなってしまうかも? 【あらすじ】 ハンターは、御曹司の夫と結婚し、ニューヨーク郊外の豪邸で専業主婦として暮らしていた。 誰もが羨むような生活を送っていたが、夫や義父母からのプレッシャーにより、次第に孤独と不安を感じるようになる。 ある日、ハンターは衝動的にガラス玉を飲み込み、その行為に快楽を覚える。 それ以降、彼女は画鋲や乾電池など、さまざまな異物を飲み込むようになり、異食症と診断される。 夫や家族は彼女の行動を理解できず、ハンターは自身の過去と向き合いながら、真の自分を見つけ出そうとする。
ニューオーダー
- 制作年:
- 2020年

ミシェル・フランコ監督が描く『ニューオーダー』は、経済格差が引き起こす社会秩序の崩壊をリアルに描いたディストピアスリラーです。 第77回ベネチア国際映画祭で銀獅子賞(審査員グランプリ)を受賞し、その衝撃的な描写と社会的メッセージで世界中に波紋を広げました。 物語は、裕福な家庭に生まれ育った娘マリアンの結婚パーティーを発端に、抗議運動が暴徒化し、国家が崩壊していく様を緊迫感たっぷりに描いており、これがまたエゲツない! 人間の闇という闇をここまで描いた映画は、他にないのではないでしょうか? また、暴徒の襲撃、軍部の台頭、そして戒厳令——急速に変貌する社会に翻弄される人々の姿は、観客に強烈な不安と問いを突きつけてきます。 過激で鮮烈な映像表現と共に、現代社会が抱える分断の危うさを容赦なく突きつける本作。 戸惑う気持ちはわかりますが、一度は観てもらいたい映画です。 【あらすじ】 裕福な娘マリアンは夢にまで見た結婚パーティーの日を迎え、幸せの絶頂にいた。 彼女が暮らす豪邸には、結婚を祝うため政財界の名士たちが集まってくる。 そんな中、近所の通りで行われていた貧富の差に対する抗議運動が暴動化し、マリアンの家も暴徒たちに襲撃されてしまう。 殺戮と略奪が繰り広げられ、パーティは一転して地獄絵図と化す。 マリアンは運良く難を逃れたものの、次に彼女を待ち受けていたのは軍部による武力鎮圧と戒厳令だった。